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米中対立が為替に及ぼす影響

米中摩擦は戦争に発展する可能性も

こんにちは、初めまして。
FXトレーダーの黒鳥です。

今回は、昨今激化している『米中摩擦』が為替相場に及ぼす影響について取り上げようと思います。

2年ほど前からニュースでも多く取り上げられるようになった米中摩擦ですが、一体アメリカと中国の間で起こっている問題は何なのか、そしてそれが為替に、未来にどういう影響があるのか。

大きく4つに分けて分析して行きます。

あくまで私個人の見解になりますので、ご了承ください。

現状と問題点

まず、米中摩擦においての現状問題点について深堀りして行きましょう。

簡潔に結論から言いますと、

「対外的に驕り高ぶっている中国に覇権を握らせまいと、アメリカが抑制手段に出ている」

というのが米中摩擦構図における現状です。

ここで重要なのが、貿易摩擦などの経済的な問題意識だけではなく、「米国の覇権維持」という戦略目標がついに政策化されたという点です。

これについて少し過去へ遡り考えます。
2018年前半に米国が実施した対中国政策は大きく変わりました。

具体的な施策は全部で3つです。

1)17年末 国家安全保障戦略が出て「中国との競争」が打ち出される

2)18年3月 米通商代表部(USTR)の調査が始まり中国に対する関税付与実施

3)18年8月 「マケイン法」(国防権限法)が制定
中国に対して現在行われているような輸出管理・投資規制の枠組みが出来上がり、10月にはハドソン研究所でのペンス副大統領の「対中強硬論」の演説。

上記が米中関係にとっての「大きな転機」と言えます。

本来トランプさんは不動産業界のビジネスマンですので、数字で判断し「いかに自国への利益を上げるか」を注視するタイプです。

上記背景から、「優位性を保つ」という部分に焦点を置くのでこうなるのは必然です。

まして今や国を動かすほどの権力者となっております。

ただ一番トランプさんが問題視していることは「中国の外交姿勢が好戦的」という点です。

共産党のやり方や拡張主義的な活動にせよ、中国の姿勢には世界が警戒を募らせています。

しかし、習近平さんは今の危機を覇権拡大の好機と見なしているというのが世界との大きな摩擦を生んでいる原因ですね。

今後、この摩擦が長引けば米中戦争にまで発展する確率が75%はあると考えています。

根拠と理由については後述します。

米中摩擦の問題と背景

そもそも事の発端は何なのか。

今の米中対立の経緯を振り返ると、最初に仕掛けたのは中国側です。

2016年に米国の安全保障体制、価値観を批判し、国際連合と国際法だけ支持する等、アメリカに対して対抗心を明らかにしました。

2017年には「2049年には米国に追いつく」と声高らかに宣言し、海底ケーブルやGPS衛星システムなど、米国主導ではない国際公共財づくりにも着手しています。

上記の様な行動が南シナ海の「軍事化」やサイバー攻撃なども加えて米国を刺激し、米国における“中国脅威論”が増してきたと考えられるわけです。

多くの技術者を他国に送り込み、技術を自国に持ち帰らせて発展させていく、
なにより大きな問題なのは軍事力の技術の発展に関してです。

これにはアメリカだけではなく強い警戒感を世界も持っています。

故に、中国に覇権を握らせない為の攻防が繰り広げられているという現状です。

今や中国は世界において一大マーケットである事は間違いありません。
これが中国の最大の脅威だと感じています。

中国の貿易以外での問題点について。

中国は、香港の反政府活動や民主化運動の取り締まり強化を計画していることに対処する方針を表明し、一国二制度や共産党体制を強化していく姿勢を示していることに対して、米国が対処する方針であることなどから、米中間の緊張を継続して高めている事は間違い無いですね。
では一体、中国と香港は何が問題なのか。

一番は中国が香港を統治しようとしている点です。

前提として「中国」の中にありながら「香港」は別の自治区だという事です。
これを理解するには歴史を振り返る必要があります。

香港はかつて、150年以上にわたってイギリスの植民地で、99年間租借していましたが、1977年に中国に「一国二制度」という条件付きで返還されました。

香港は中国の一部になるものの、返還から50年は「外交と国防問題以外では高い自治性を維持する」ことになったので、香港は特別行政区として認定されたのです。

この時、中国共産党は返還後の香港は中国の法律に従うべきだと主張していました。

特別行政区とは、独自の法制度や国境を持つほか、表現の自由などの権利も保障されている自由な国の事を指します。

しかし、中国は度々香港を統制しようと試みます。

その度香港は自由と権利を求めてデモ活動を行ってきました。

香港はデモが多い国というイメージを持っている人が少なくないのはこの為ですね。

中国は大きな金融マーケットとなった香港を吸収したい思惑があるのでしょうが、やり方や思想に問題があり反発されているのでこの問題はしばらく収束しないものと考えています。

そもそも自由を謳っている場所に”人治国家”が介入するのは無理がありますね。

今、為替相場に与えている状況

今回の騒動で浮き彫りになったのが、2点あります。
コロナウィルスによる壊滅的なダメージにより互いに経済分野でのアピール力が弱まったという事と今年11月にアメリカ大統領選挙があるという事です。

コロナ禍で対策に追われる一方で、『共通の敵』である中国への反中姿勢で支持を拡大しようとしています。
上記より持ち手が少ない以上、票獲得の為に強気な姿勢を崩す事は今のところ考えられません。

しかし、11月の米大統領選の結果によっては今後4年間の米中関係は大きく左右されることになると感じています。

大統領選挙中国との関係株価への影響ドルの価値
バイデン氏対中強硬姿勢株安短期的にドル安
トランプ氏対中強硬姿勢株高短期的にドル高

バイデン氏が勝利すると中国に批判的な態度は変わらないとしても、今の状況からは変化が生じる可能性があるという声も聞こえて来ています。
しかし金融面に対しては提示している政策内容から、株価が下がりドル安をうむ状況が伺えます。

仮にトランプ氏が選挙戦で勝利すれば、中国の対応次第では、現在の反中姿勢からは少し態度を軟化させる可能性も考えられます。

しかし、アメリカとしては支持率獲得のための対中強硬姿勢と考えてはいるのでしょうが、株価には逆効果となってしまっているのが現状です。

実際に中国への制裁を加える事により株価が下がっていますね。

貿易において一大マーケットである中国との摩擦は為替相場において「ドル売り」要因でしかありません。

この経済戦争で米中関係が悪化し、各国の緊張感が高まるとゆくゆくは戦争を懸念する人間や投資家が出てきます。

そうなると、人は必ず安全資産に走るという構図が見えてきます。

安定的な安全資産という認識のある「円」「スイスフラン」そして昔から安全資産と言われている「GOLD」

実際に2015年あたりからGOLDは急騰しています。

市場参加者は先を読むため安全資産に走るということは常にリスクを懸念して動いているという証拠だと言えます。

世界の基軸通貨であるドルの下落により他の通貨での変動も大きくなっている事がこの要因と言えます。

ここで、米中関連で為替が実際にどう動いたかを確認しておきましょう。

私個人としては、トランプさんはとても分かりやすい人なので大きく左右される事はありませんでしたが、テクニカルだけでは読み切れないファンダメンタル要素は今後もトレーダーとしては非常に重要となります。

トランプさんは分かりやすいと書きましたがTwitterを駆使しているのは厄介です。彼のタイミングで発言出来てしまうため、いつツイートするのか分かりません。

振り回されないように大きな方向感を掴み要人発言にも備える事が必須です。

今後、米中に関する新しい材料が出てきますが、基本的にはネガティブなものが多い可能性が高いと考えています。

米中関係がより悪化すれば市場参加者がドル売りに走るのは想像に固くないですね。

今回出てきた新たなネガティブ材料としては領事館の閉鎖ですが、もし大使館の閉鎖を要求する様な事が起こればそれは宣戦布告にも等しい事柄です。

外交特権を担う領事館の閉鎖は、大使館の閉鎖に次いで強烈な外交的な意思表示という事に変わりはありません。

この場合、ドル安方向に一方的に舵を切り、中長期的に見て投資家達の心理的節目100円を目指してもおかしくないと感じています。

今後の動向

米中対立が長引き更に激化が加速した場合、最悪『米中戦争』にまで発展する可能性があると私は思っています。

もうお互い引き返せないポイントまで来ているので、終着点としてはどちらかが折れるしかない状況です。

トランプさんが規制を緩めることや習近平さんが他国との和解に向き合うという事は現状考えられません。

後に引けない状況ですので、必ずどちらかが折れないと強硬手段に出るしか無くなります。

戦争は誰も望みませんが、今はそれが現実です。

これは短期的な政権争いではなく、国同士の覇権争い、いわゆる国の威信をかけた潰し合いです。

なぜ私が戦争の可能性を加味しているかと言うと、過去500年の歴史で新興国が覇権国の地位を脅かしたケース16件について研究したデータに基づき、戦争になる可能性が極めて高いと感じているからです。

これはハーバード大学「トゥキディデスの罠プロジェクト」という研究結果を引用しています。

16件のうち以下の12件で最終的に戦争が起きた。
①16世紀前半のフランスとハプスブルク家
②16~17世紀のハプスブルク家とオスマントルコ
③17世紀前半のハプスブルク家とスウェーデン
④17世紀半ば~末のオランダと英国
⑤17世紀末~18世紀半ばのフランスと英国
⑥18世紀末と19世紀初めの英国とフランス
⑦19世紀半ばのフランス・英国とロシア
⑧19世紀半ばのフランスとドイツ
⑨19世紀末と20世紀初めの中国・ロシアと日本;日清戦争と日ロ戦争
⑩20世紀初めの英国とドイツ(フランスとロシアが英国を支援)
⑪20世紀半ばのソ連・フランス・英国とドイツ
⑫20世紀半ばの米国と日本
残りの4件では戦争を回避できた。
①15世紀のポルトガルとスペイン
②20世紀初めの英国と米国
③1940年代~80年代の米国とソ連
④1990年代~現在の英国・フランスとドイツ

このような研究結果を著書『米中戦争前夜』の中で発表しています。

これが、米中戦争に発展する可能性が75%(16件中12件)あるという根拠です。

我々が出来ることは米中の動向を見守る事しかできません。

しかし、中国の軍事力はアメリカに比べそれほど強大では無いので、互いの出方や対応に注視し続ける必要があります。

もし戦争が起きれば相場に大きな影響を及ぼし、今の様に安全にFXで資産運用する事も出来なくなってしまいます。

そして、この覇権争いに日本を巻き込まないで頂きたいと心より感じております。

今後の両国の動向には注視し、トレードに臨む必要があると私は考えます。

最後までお読み頂きありがとうございました。
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